*****ここから『電子耕』**********************************************   隔週刊「75歳が送る農業文化マガジン『電子耕』」  第46号   --農業・健康・食・図書・人物情報--  http://nazuna.com/tom/denshico.html 2000.11.23(木)発行      東京・ひばりケ丘  原田 勉 mailto:tom@nazuna.com ********************************************発行部数1293+74部******** <キーワード>   農業を中心として健康・食べ物・図書・人物・庶民の歴史をめぐる雑学情報 を提供し、<読者の声>欄でお互いの意見交換の場を作りましょう。 --------------------------------------------------------------------- <本誌記事の無断転載を禁じます、教育目的の転載も承認を求めて下さい>  投稿メールは原則として<読者の声>に掲載します。都合の悪い方は「載せ ないで」と明記して下さい。ペンネームの無い方は姓だけで載せますので、ご 了承ください。内容は自己責任でお願いします。★字数は200〜400字を 標準とします。短い文章で簡潔に書く練習のつもりでお願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目 次 <読者の声>栗田庄一さん、 ニュース:「ゆたか」にマガジン紹介。「気象新聞」に食べ物と気象。 <舌耕のネタ> 私の20世紀の記憶(2)「兄弟3人戦場に」 <農業文化情報>山崎農業研究所の研究会   定例研究会「今農村では何が起こっているか」12月8日(金)14時-17時 <図書・情報>『中国史のなかの日本像』王 勇著 農文協刊 1950円 <農業・図書情報>近藤康男の「三世紀を生きて」第5回その1・ (11月号)1、マルクス経済学の立場に立つ最初の『農業経済論』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <読者の声>ここはメール交換の場です。編集者はコメントしない場合もあり ますがこれは、メールを無視したわけでは無く、読者同士の交流にゆだねると いう意味ですからご了承下さい。---------------------------------------- ◎ 投稿募集、「20世紀の記憶・忘れてならないもの」この100年の日本・ 世界のできごと、私の忘れられない記憶を募集します。  字数:500字以内。期待しています。締切:12月15日まで、いつでも  適宜に掲載します。お名前(ハンドネームでも可)年齢を明示して下さい。 ---------------------------------------------------------------------- <読者の声> 11/16 栗田庄一さん、国土庁と農文協共催のシンポジウムのご案内をさせて下 さい。 「歴史・文化資源を活用した都市農村交流シンポジウム」のご案内 (開催:12月2日<土>13時開場 東京都 千代田区公会堂) 日頃、当協会の活動につきましては格別のご支援をいただき、有難うござい ます。 この度、当協会では、国土庁との共催で上記シンポジウムを開催いたします。 ぜひ、このシンポジウムにご参加いただきたく、ご案内申し上げます。 <開催のねらい> 21世紀を目前にして、改めて豊かさとは何かが問われ、国民の健康的でゆと りある生活に資するため、農村の持つ多面的な価値の見直しが求められていま す。とくに、歴史・伝統に彩られた特色ある文化の見直しは、郷土に誇りと愛 着を持つ契機となり、訪れる都市住民にとってもより深い交流ができる、魅力 的な地域の創造につながります。 農村の個性的な文化を掘り起こし、そこに生きる価値を見直して、心の豊か さを求める都市住民との交流を深め、「好縁社会」のライフスタイルをお互い に育てていくことが必要です。 今回開催するシンポジウムは、歴史的・文化的空間としての農村の魅力を再 発見し、都市と農村の交流・新しいツーリズムのあり方を提起して、新しいラ イフスタイルをともに考えようとするものです。このシンポジウムへのご参加 をお待ちしています。 ■シンポジウムのテーマ 歴史・文化資源を活用した都市農村交流シンポジウム 「歴史ロマンの里・田舎の豊かさ再発見」 …都市と農村の交流・新しいツーリズムを考える… 主催:国土庁・(社)農山漁村文化協会 後援:文部省・農林水産省 ■開催日と会場 ◇日時 平成12年12月2日(土) 開場13:00 開演13:30(17:00まで) ◇会場 東京都 千代田区公会堂(千代田区九段南1−6−17) (地下鉄東西線、半蔵門線 九段下駅 4番出口徒歩3分) ◇募集人員 600人(入場無料・申込者へ入場整理券発行) ■プログラム ●基調講演 木村尚三郎 (東京大学名誉教授)・・・13:30 「21世紀の新しい生き方の場としての農村」 くらしといのちの安全と安心へ、学ぶべき知恵は農村にある。 21世紀は、農村の個性的文化が都市をリードする時代である。 ●地域からの報告・歴史ロマンの里「田舎の魅力」はここにある・・・14:45 ◇岐阜県古川町「飛騨匠−千年の伝統を活かした地域づくり」 ◇高知県物部村「杣里(そまざと)の不思議・古神事いざなぎ流が人を呼ぶ」 ●パネルディスカッション 「歴史・文化資源を活かした都市農村交流と新しいライフスタイル」・15:35 パネリスト 橋本 裕之 (千葉大学文学部助教授・日本文化論) 山崎 光博 (秋田県立大学短期大学部教授・農村生活論) アン・マクドナルド (エッセイスト) 斉藤 滋 (近畿日本ツーリスト(株)イベントプロデューサー (進行)村松真貴子 (元NHKキャスター・日本食生活ジャーナリストの会幹事) ■ 参加の申し込みは 栗田のアドレスへご連絡ください。折り返し「入場整理券」をお送りしま す。 インターネットホームページでもご案内と申し込みの受付けをしておりま す。 http://www.ruralnet.or.jp/news/sympo2000/index.html 栗田 庄一 Email : kurita@mail.ruralnet.or.jp 〒107−8668 東京都港区赤坂7−6−1 (社)農山漁村文化協会 提携事業センター 電話03−3585−1144 FAX03−3585−6466 http://www.ruralnet.or.jp ★コメント:ご希望の方は申し込んで下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ニュース:「ゆたか」にマガジン紹介。「気象新聞」に食べ物と気象。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎年金と生活の情報誌「ゆたか」12月号に、 「75歳のメールマガジン文化を耕す」原田 勉さん という『電子耕』の紹 介が7枚の写真付きで出ています。『電子耕』の読者はすでにご存知ですが、 この雑誌では年金受給者むけに「シニアがコンピュータ技術の習得するコツ」 を書いていることです。発行所は次の所です、送料とも257円。 〒104ー8104 東京都中央区銀座1ー10ー1(株)法研『ゆたか』 ◎『気象新聞』62号11月20日発行に「食べ物と気象」という欄に連載が 始まりました。第1回は「気候がつくった食べ物」で、寒さを利用した凍み豆 腐つくり(高野豆腐・凍り豆腐)の歴史と現状を紹介したもの。筆者は原田。 この新聞は気象業界を中心に気象予報士をめざして勉強している人を対象とし ています。「民間気象予報・技術」の講習、図書の発行もしています。 発行所:(財)気象業務支援センター  http://www.jmbsc.or.jp/ 〒101ー0054 東京都千代田区神田錦町3ー17。定価300円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <舌耕のネタ>◎ 国会は国民世論から離れている ◎ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 11月20日夜から21日にかけての衆議院本会議をテレビで見ていて、 心から憤りを感じた。森内閣の不支持率が増大し、国民の7割以上がNOとい う状態を背景に内閣不信任案が野党から提出された。その日の朝まで不信任案 に賛成すると言っていた加藤・山崎氏が欠席したことにがっかりした。これで 国民の世論が無視され、森内閣は存続することになったことに失望した。野党 も弱いが、自民党主流派の切り崩しはもっと酷い。また反対討論の最中に保守 党の松浪議員が野党席にコップの水を掛けたことで大混乱、採決は21日にず れ込むという前代未聞のドタバタ劇となった。この映像が電波に乗って全世界 を駆け巡ったことを国会議員は認識していたのだろうか。こうした国際感覚も ない議員が多すぎる。  自民党主流派は政権・派閥抗争には勝ったが国民世論には敗北以外のなにも のでもない。今後のあらゆる選挙で自民党(与党である保守・公明も含めて) は敗北し、やがて自滅の道を辿るだろう。さらに国民の間に政治不信がますま す広がることが恐ろしい。その深刻さがわかっていない。特に農村を地盤とす る保守的政治家・議員の変革が迫られるだろう。長野に続いて栃木県知事選挙 にみられる旧来型政治への決別を求めている民の声・意思を肝に銘ずべきであ る。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <舌耕のネタ>2 私の20世紀の記憶(2)「兄弟3人戦場に」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  『電子耕』も今年はあと2号。20世紀の最期の1カ月。20世紀で忘れて はならないことを書いておきたい。15年戦争の時代である。  次兄は1915(大正4)年生まれ、三兄は1922(大正11)年生まれ、 私は1925(大正14)年生まれ。日中戦争(「支那事変」)が起こった1 937年には、中国(北支・中支)に戦線を拡大し、12月には南京を日本軍 が占領した。次兄は翌年5月23歳で出征し、熊本の軍隊にいた。  その年の8月、従兄弟が中支の漢口攻略戦で戦死(21歳)した。村で2番 目の戦死者で盛大な村葬があった。彼はひとり息子であったため、私は13歳 であったが弟代わりに遺影をもって葬列に参加、2階級特進の従兄弟を誇りに 思っていた。ひとり息子を失った叔母は寝込んで翌春に病死した。その家の跡 継ぎをと乞われて私は3反5畝の小作人の養子になり、農業学校に行きながら 日曜や農繁期には農業労働に従事した。  1941(昭和16)年、次兄は現地除隊して村に帰還して結婚。代わりに 三兄が海軍に志願して佐世保海兵団に入隊、横須賀などで訓練の後に航空整備 兵となり航空母艦でアリューシャン列島まで艦隊勤務する。  次兄の第2回めの召集があり、今度は中支から南方方面へ出征した。  私は1943(昭和18)年12月、東京の予備校生だったが徴用令により 中島飛行機武蔵野製作所に入社、田無試運転工場に配属された。航空エンジン の試運転工見習いとして1年、1944年12月には陸軍飛行兵として現役召 集された。この年から徴兵繰り上げで満19歳で戦場に出ることになったので ある。熊本の軍隊に入るので11月22日ごろ東京を離れたが、24日には中 島飛行機武蔵野製作所に米軍の大空爆があり、29日には田無工場にもB29 による500キロ爆弾が落とされ多数の人たちが犠牲となった。  私は熊本の軍隊では受付だけで、入隊は松山市の中部空第571部隊であっ た。航空整備兵の教育隊であったが、教育用の飛行機は使用できない零戦であ った。最新鋭の航空エンジンの試運転をしていただけに失望は大きかった(く わしくは後にいずれ自分史で述べたい)。  1945年7月仙台航空予備士官学校に入校、8月には米軍艦載機の空爆を 受け学校・軍事施設は壊滅し、山中に避難し、敗戦を迎えた。村から一緒に出 征した友人3人のうち2人は海外へ派遣され、1人は帰って来なかった。私は 内地勤務で命だけは助かった。 三兄は敗戦時、海軍の厚木飛行場にいたが、マッカーサー占領軍が着陸する のに反乱を起こさないように、8月15日には全員解散を命ぜられ、着の身着 のまま熊本に帰還した。苦労したのは艦隊勤務で、アリューシャン列島に航空 母艦で行ったとき、シケで1週間も船が木の葉のように揺れ、飲み食いが出来 ず、吐き続けたという。それでも何度か死地を脱して帰還したのは好運という 外はない。  私は9月15日に仙台から復員、福島県勿来(なこそ)町の親戚に身を寄せ た。 次兄は1947年ボルネオから帰還した。中国戦線で白兵戦にも何度か参加 したが、その時、敵味方とも顔色が土色のようになったと言い、隊長は腹に迫 撃砲の弾を受けて、のたうちまわり24時間も軍隊や上官をのろい、泣き叫び 死んで行ったと語った。ボルネオでは上陸の船が沈められ九死に一生を得たと いう。敗戦後も食う物がなく、トカゲや草の根で飢えをしのび、栄養失調で復 員した。  わが村の中では、ほとんどの若い男性は軍隊に召集され、3人にひとりは帰 らず、多くの戦死者を出した。その中で兄弟3人が無事帰って来たことで母と 家族は喜んだが、村中の皆から羨ましがられた。  戦争だけは、どんなことがあってもしてはならない、行ってならない。 (次回は戦後・占領下の日本) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <農業文化情報>山崎農業研究所の研究会  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  定例研究会「今農村では何が起こっているか」12月8日(金)14時-17時 山崎農業研究所定例研究会の予定 2000年12月8日  14:00 - 17:00 太陽コンサルタンツ 6F 今農村ではなにが起こっているか(仮題) 都会をはなれて農村に生活しようという若者がふえています。農村を魅力ある ものにしようと地域の農業振興は注目を集めています。その一端をみる。 I.角田市の農業にかける夢 (角田農業戦略プランを中心として) 講師 菅野純一氏(交渉中) 宮城県角田市農業振興公社事務局長 菅野さんは角田市の農業振興のために農業者、農協などの農業関係団体職員、 市の職員が集まって「角田市農業戦略会議」を開き討論に参加してきました。 約1年間の討議の結果、「近未来の農村農業はかくありたい」という思いがま とまりました。これを紹介してみなさんの意見をお聞きします。 角田農業のグランドデザイン 1.角田農業はあしたもまじめです 2.角田では農業が好きなひとが食べ物をつくります 3.「角田の農家」から「これからの都市生活者」への提案 4.角田農業はグランドデザインする 5.食農学習の里エコミュージアム角田をめざして 6.あぶくま農学校の創設を 7.あざやかな地域循環農業をめざす 8.自立した農場制農業を中心に 9.角田市農業振興公社NPO II. インターネットで恋愛米・野菜・卵直販、百姓を楽しむ 講師 鈴木孝夫氏 鈴木さんは北茨城市在住の農業者で「すずき産地」というインターネットホ ームページを開いています。これを使って農業生産物を全国に販売、実績を上 げています。水稲3ha、野菜畑、養鶏農家。 http://suzuki31.page.ne.jp/ 1.レンゲで地力を肥やす 2.除草剤のかわりにアイガモに手伝ってもらう 3.仲間と地域興し「れんげの里」 4.インターネットで恋愛米・野菜・卵直販。百姓を楽しむ 参加歓迎・希望者は下記にご連絡下さい(会費無料・夜の忘年会は有料)。 山崎農業研究所・電話03ー3357ー5916、FAX03ー3357ー6 420。新宿区四谷3ー5不動産会館太陽コンサルタンツ内。地下鉄丸の内線 四谷3丁目下車3分。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <図書・情報>『中国史のなかの日本像』王 勇著 農文協刊 1950円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.ruralnet.or.jp/books/taa00171/taa00171.htm 日中交流の歴史は2000年以上の長い歴史がある。この本によれば、古代 の中国人はみずからの世界観にもとずき、東方にある「倭」の国を仙人がいる 「蓬莱の島」「宝物の島」と考えて、海のかなたに思いを馳せていた。  この虚像は、日中交流がさかんに行われた唐・宋期に修正される。当時、選 ばれた日本人使節の堂々たる風貌と留学僧の学問にはげむ真摯な姿、大陸に輸 入された精巧な日本製器物が中国人に強い印象をあたえた。それを中国人は、 日本を儒教上の理想人物である「呉の大伯」の子孫が住む「礼教の邦」として、 日本人を「器用な民」「好学の士」と考えるようになった。  ところが後になって中国からの侵略(元寇の乱)があり、日本の海賊行為 (倭寇)の横行、秀吉の朝鮮出兵などによって中国の日本像が悪くなり「残虐 な暴徒」「妖怪」というイメージになった。さらに近代になって「西学の師」 とする一時期があったにもかかわれず、日中戦争によって「幻想の破滅」に至 った。そして歴史に沈殿していったのは、「礼儀正しく振る舞う君子像もあれ ば、日本刀を振りかざす倭こう像も見え隠れする」という多重的な日本像であ る。  このように著者は中国史と日中交流との交差という視点から歴史事実に躍動 感をもたせながら、中国の日本像を捉えている。しかも著者はつねに「未来志 向の日本像の構築をめざす」ことを念頭においている。例えば天台宗を開いた 最澄、真言宗の開祖空海の現地の僧侶との交友関係についての叙述など、本書 に随所に見られる。その土台には民族や国家をこえた仏教的世界観があったと 著者は指摘し、個人と個人とをつなげる普遍性をもつ何らかの連帯意識の必要 を示唆している。さらに「未来志向の日本像」を構築する際に「特定の利益集 団に個人の良識を拘束されない、民間レベルの心の交流がまず不可欠な前提と なる」と提言している。著者は淅江大学日本文化研究所教授である。 <出版ダイジェスト11月1日号参照、書評(評者:東大助教授、陳肇斌・ち ん・ちょうひん、)から一部引用>  日中関係が複雑になっている現在とくに過去を顧み、将来を考えるわれわれ にとって示唆するところは大きい。一読をお勧めする。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <農業・図書情報>近藤康男の「三世紀を生きて」第5回その1・ (11月号)『農業経済論』 原田 勉・梶井 功 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1、マルクス経済学の立場に立つ最初の『農業経済論』  ローザ・ルクセンブルグにとくに関心を持ったことについて、阪本楠彦・金 沢夏樹との対談のなかで、近藤は次のように語っている。 「結局僕の問題としてもっている日本の農業の問題を考えつつ、いろんなもの を読んでいるときにローザが非常に面白く読めたのは、つまり総資本の再生産 のなかで、拡張再生産の前提条件として追加の購買力を、国内の農民経済の自 給経済を分解して、商品経済に引っ張り込み、国内に追加の市場をつくるとい うこと。それでも間に合わないから植民地、外国市場を求める。そういう点で これこそわが学問の体系と思ったのでしょうね。  総資本の再生産を考えるばあいは価値の再生産も必要だけれども、同時に現 物形態の使用価値としての循環、再生産も必要だということで、そこで食糧で あるとか、植民地からのものをもってきて拡張再生産が行き詰まるのを打開す るというような問題が出てくるわけです。  ローザを学んで国民経済的には、農業基本法の理論的指導者が言っているよ うに、儲かるものをつくれといってすませるわけにはいかないところに日本の 農業問題があることを会得したのです。」(近藤『一農政学徒の回想』上一二 九〜一三〇ページ)  ローザの『資本蓄積論』からヒルファーディングの『金融資本論』を読み、 農業経済の学問的体系化について具体的な構想が浮かんできた。  一九三一(昭和六)年東大助教授になった直後の夏、三河三谷の海岸にこも って『農業経済論』(一九三二年刊)を書き上げる。  それは、マルクスの再生産論、そして帝国主義段階におけるその特殊論であ るローザの『資本蓄積論』によりながら、「社会総資本の蓄積運動の中に於て 農業乃至独立小生産者が如何なる役目を果たすか、かかる役割を達することに よって農業乃至独立小生産者自身の如何なる発展が必然的であるか」を解明す ることで、「抽象的言葉を以てではなく、不完全ではあるが具体的」に「科学 としての農業経済学の外延と内包」(農文協「昭和前記農政経済名著集(2) 『農業経済論』序二九ページ、以下本書からの引用ページは「名著集」による) を体系的に示したものだった。  以下簡単に各論の概要を説明しておこう。  第一章は、よって立つマルクスの再生産論とローザ資本蓄積論の解説である。 ローザの読み方が問題になるところだが、あとで取り上げよう。  第二章は地代論であり、全体の三分の一近いページ数がこの章に当てられて いる。農業にとって農地は最も重要な生産手段であり、土地問題の存在こそが 農業の経済問題を特殊に農業問題にするからである、そして土地問題こそが農 業を資本主義の外囲にする最大のファクターだからである。  「地代・・・・農業における生産関係」と題するこの章の最後の節は「農民 の過労と半失業」と題されているが、この節は、多くの人に感銘を与え、小倉 武一の英訳『Can Japanese Agriculture Survi e?』(一九七九年農政研究センター刊九一ページ)で国際的にも有名になっ たかもしれない民謡 農人は 戻るし    団子汁 煮えず    杓子は 見えず    赤子は泣くし    やれ尻掻いや で始まり「あらゆる資本主義社会に於ける小農民の存在は農業に於ける小生産 者の技術的優越によって説明されずして、小農民がその消費を賃銀労働者の消 費水準以下に低下して賃銀労働者の労働よりも比較にならぬほど激烈な労働に 疲れ切っていることによって説明される」(一七三ページ)という言葉で結ば れている。   小倉は団子汁を rice paste soup と訳したが、団子汁はふつうは小麦粉 で つくる。  第三章から第五章まで、資本蓄積の過程で農業がどのような役割を果たすの かを、商品の販売と購買の両面から見ている。農産物の商品化はどのように進 んでいるかを広く追及し、中でも繭取引では典型的な独占資本の支配を、煙草 専売では国家資本の統制による農民支配を問題にしている。  販売市場は、資本の工業生産物を農業・農民に売り込むもので、資本は独占 価格で販路を拡大し利潤を得ていく。その事によって買う必要は売る必要とな って、農業の商品生産化、農業の近代化を促すのである。肥料や農業機械、水 利土木事業による農村支配などを、豊富な資料にもとずいて克明に描いた。  そして、これらの近代化は土地問題の解決を迫る。地主制のもとにある小作 農は金肥を用いて多肥農業をすることはできるが、土地改良への投資が出来な い。  トラクターやコンバインは規模の零細な農民の採算には乗らないという矛盾 にぶっつかる。資本が高い生産性をもった技術を農業へもちこむ時、生産関係 の問題に立ち帰らざるをえない(この問題は現在の基盤整備など構造改善事業 の場合においても当面する問題である)。  近藤が本書を書いたこの時期は大正末期から昭和初期という第一次世界大戦 後の不況がしだいに深刻化し、昭和恐慌から世界恐慌へと展開したときである。  内務省がわが国最初の全国的失業者調査を実施したのが昭和四年だが、この 時期の失業について特に注意されることは、知識階級の失業が多かったことで ある。昭和七年の大学卒業生の就職は三割であったという。「大学は出たけれ ど」という映画がつくられたのもこの頃である。文部省がインテリ失業救済の 臨時的予算を計上せねばならなかった時代である。  その激動期に日本農業も大きな影響をうけた。第三〜五章の主題は、その問 題の基礎的メカニズムを明らかにすることにあった。 第五章は投資ーー植民地農業の支配の問題で国内で見られた販売・購買の問 題がより拡大された規模で、投資・資本輸出という形をとって、暴力的に行わ れる。  この本では朝鮮・台湾の例をあげたが、古今東西、現在でも発展途上国の援 助とか開発輸入という名でより大規模に行われているところである。 (くわしくは全農林発行の『農村と都市をむすぶ』11月号参照。) http://www.catnet.ne.jp/zennorin/noson/nouson.html ━PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■■  劇団文化座 第113回公演 作 堀江安夫 演出 佐々木雄二 ■■■□        『若夏(うりずん)に還らず』 ■■□□  ---森口豁(もりぐち・かつ)「最後の学徒兵 」より--- ■□□□ 公演期間 2001年1月12日(金)〜21日(日) 会場 文化座アトリエ □□□□    料金 一般 3675円 高校生以下 2100円(税込) □□□□        ★劇団にて前売券発売中★ http://bunkaza.com/ 森口豁「最後の学徒兵 」 http://www.cyber-rabbit.com/katsu/books/04.html http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=96032011 森口豁の沖縄通信 http://www.cyber-rabbit.com/katsu/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━PR━━━ ■山崎農研発行の書籍のご案内 http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_books.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●協力をいただいているサイト紹介コーナー 「農文協ルーラルネット」 http://www.ruralnet.or.jp/ 「山崎農業研究所」 http://www.taiyo-c.co.jp/public_html/yamazaki/yama_index.htm 「劇団文化座」 http://bunkaza.com/ -------------------------------------------------- 「75歳の伝記ライター 原田 勉」ホームページ制作管理 internet SOHO なずなコム http://nazuna.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ここまで読んでいただきありがとうございました。 ■ご意見・ご感想は、Eメール mailto:tom@nazuna.com または、電耕掲示板 http://www62.tcup.com/6201/tom.html? までお願いします。 ●メール送付の際のご注意案内↓ http://nazuna.com/tom/denshico.html#mail 『電子耕』は、2つのルートで配送しております。   『まぐまぐ(ID=14872)』 http://www.mag2.com/   『Macky !(ID=1283)』 http://macky.nifty.com/ SPECIAL THANKS to INTERNET JAH http://www.jah.ne.jp/ <本誌記事の無断転載を禁じます> ********************************************************************   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