*********************************************************** 週刊「74歳が送る農業文化マガジン『電子耕』」第4号 --農業・健康・食・図書情報-- http://nazuna.com/tom/denshico.html 1999.7.22(木)発行      東京・ひばりケ丘  原田 勉 mailto:tom@nazuna.com *************************************発行部数735+32部****** <キーワード>   農業を中心として健康・食べ物・図書・人物・庶民の歴史 をめぐる雑学情報を提供し、お互いの意見交換の場を作りましょう。  毎週木曜日あなたのメールボックスに配信します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <読者の声> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 原田から:第3号(自殺問題)へのメール沢山有り難う。  お礼申し上げます。  私が自殺問題を特集したのは、マスコミの報道が厚生省や警察庁 の発表を解説するだけですまし、評論家も抽象的対策しか述べない のに義憤を感じたからです。  個別的にはどんな苦しい状態にあるのか、その実態をもっと世間 に知らせたいと思い、あえて70年も前の例をさらけ出したのです。  ところが750人あまりの読者の中から、次の5人の方のご意見 がありました。これは氷山の一角だと思います。  恐らく、もっともっと多くの方が、苦しみ悩んでおられることで しょう。その人達とともに、この間違った世の中をみんなで変えて いかねばならない。それにはひとりひとりがもっと発言しなければ ならないと思いました。  今後もぜひ<読者の声>にご意見を反映させて下さい。 ○ 北海道のS・Iさん:  「最近の傾向が若年の流行的自殺から、不況で責任自殺へと移る 過程で、本当の意味での責任を痛感します。家族についての責任は 皆で取り組むことで生まれるもので、皆を捨てることは責任放棄で しかないと思います。  このような記事を取り上げられたことは、ついつい日々の中に置 き忘れがちになることですが、とても意味あることです。   文章を読んで涙が出ました。残念です。」 ○ はじめまして 33歳、4歳のこどもの母です:  「創刊号から讀ませていただいています。今回の自殺について、 いろいろ書かれていて残された者の気持ちが・・・理解できるか。 自分の中で再度考え直すよい機会となりました。」 ○ 仙台のH・Nさん:  「原田さんのもう一つの面がわかった。毎回くるのが楽しみ、待 っています」 ○ 20歳のAさん  自殺というのは家族など周りの人にとってとても 悲しく、特に親の立場にいる人の場合残された 子ども達や配偶者はどんな思いだろうと心が痛みます。 けれど、原田さんのお母様のような近所の人々 への遠慮、というようなものについては全く思いも かけず、とても驚きました。 正直言いまして、その価値観がよく分かりません。  近所の人々は父親に自殺されてしまった家族を 温かく見守り励ましこそすれ、そんな非難の目を 向けていたとはとても考えにくいと思います。 時代の差なのでしょうか。  自殺を見逃さないために、話を聞こうというのは とても共感できました。  自殺に限らず、悩んでいる人にとって話ができる 相手がいるというのは、それだけでどんなにか 助けになることでしょう。  嬉しいことでもついつい人に話したくなったりする ものです。何でも話せる友人は本当にかけがえの ないものだと思います。 ○ その外にも、ご意見がありましたが、とくに、「涙が出て止ま りません」  というメールを下さった方の了解を得て、ご紹介します。 ○ 山梨のcoffee jackさん: 「お父さん死なないで!」を読んで、どうしてもお便りしたくなり ました。 現在48歳、無職で仕事を探しているところです。 前職は略しますが、昨年5月いきなりリストらで年の順に首を切ら れました。 不況の波が会社を直撃したのです。それからハローワークやあらゆ るつてを頼って再就職の口を探しましたが、全く相手にされず、今 日に至りました。     そこに今朝、原田さんからのメルマガが届き、なんの気なしにタ イトルに目を奪われ、読みふけってしまったところ、涙が後から後 から溢れて、どうしようもありません。  自分の今の状況が、自殺されたお父さんとダブッてしまい、その やり場のない心境が痛いほどよく分かるのです。自分自身の力では、 この状況が好転できないのです。  最後に残して上げられるものは、当面の生活費・・・、そんな最 終判断が自殺の道を選ばせたのでしょう。  お父さんは、人知れず悩み続けたこととおもいます。改めてご冥 福をお祈りいたします。  しかし、私は決して自殺しようとは思いませんので、ご安心の程 を・・・。 「一生懸命働こうとしているのに、職場が得られない。」 「商売のアイデアは沢山あるのに、金がない、ものにならない。」  これらはいずれも他力本願への不満でしょうが、やはり突き詰め るところ、お金がないことに原因があるような気がします。    原田さんの送られてきた我慢の人生に比べれば、今の私の人生な んて甘ったれの愚痴でしかないでしょう。  もっと苦労しなければ、人生の本当の意味は見えてこないとおも います。  久しぶりにとても感動される文章に出会えたことを嬉しく思いま す。  私ももっと苦労して・努力して、再び立ち上がろうと思います。  そして時々でも構いません、原田さんの人生をもっともっと聞か せていただけないでしょうか。私のように人生の途中でひょんな事 から躓き、悩んでしまっている人間への警鐘になることは間違いあ りません。  人の歩みの尊さがとてもよく理解できました。ありがとうござい ます。  人生を投げ出さず、考え直すきっかけとなり、活力を与えてくれ たことに感謝し、とりとめない文章のままですが、失礼させていた だきます。  これからもどしどしメルマガに書いてください。  よろしくお願い申し上げます。 --- ○ 原田:山梨の方の失業中の苦しい実態を知り、心痛みます。   そして結論には大いに賛成です。   今後も<読者の声>で交流、励ましあって生きましょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  目 次 <読者の声> <舌耕のネタ> ◎ 水上勉(80歳)の電脳くらしをかんがえる    <ニュース>  ○ 体験!いのちを育む食農教育         ○ 棚田パノラマ体験展・きみは棚田を見たか! <農業・図書情報>1、稲作の起源を訪ねて 2、DNAとプラント・オパール 3、人物・書評:山崎不二夫『水田ものがたり』 <夏の健康食> 7月(旬の野菜)効用・材料・作り方          (4) 夏ばてにピーマン・セロリー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  <舌耕のネタ>  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    ◎ 水上勉(80歳)の電脳くらしを考える 「人物・水上勉」 私は劇団文化座を応援する文化座友の会に参加 している。  その関係で、劇団の女優・佐々木愛さんから水上勉先生のことは 昔からよく話を聞いていた。  一昨年は水上先生の山荘(長野県北御牧村)訪問に同行したこと もある。  先生は70歳のとき心筋梗塞になり、心臓の三分の二は機能しな くなった。 三分の一の心臓でくらすことの練習に、原稿を書くとき筆圧のかか らぬワープロをならったのは72歳のときであったという。  万年筆で2000字くらいで息切れしたからだ。  そのときからパソコンにはまりこんで小説『飢餓海峡』400字 詰め1500枚をMOフロッピーに入れた。若い男女に習ったり入 力の協力をしてもらって、新しい女性のメール友人もできたという。  さらに昨年79歳のとき眼底出血で左眼が見えなくなった。いろ いろ苦労して網膜剥離の手術をしたが、やはり半分くらいしか見え ない。  片目しか見えないのは私と同じだなと思いつつ、水上先生の書い た新聞や図書を読んでいる。新刊の『電脳暮し』は活字も大きく読 み易い。先生の「今日一日をいきる」という、その生き方に感銘を うけた。  それによって、眼が見えないのを補う拡大鏡をパソコンにつけた り、音声入力で原稿を作ることを練習している水上先生のことを知 った。  私より6歳上で、やはり小作人の倅が、ともかく物書きをしたい という欲望を満たそうと奮闘しておられる。 これは見習わねばと思っている。    人間は老化する。心身ともに機能が退化するのは当たり前だろう。  私も65歳過ぎてから小説を書いてみたいと思って短編を5本、 ワープロで書いて、フィクション教室の作家先生に見てもらったこ とがある。  2本は少し褒めてもらったが、しょせんは素人。とても斬新な作 品や独自性のある作品は創作できなかった。そんなに簡単なもので ないことが判った。  出来ると思うのは幻想だ。それが実現できないと落胆する。  だから有名作家も60歳を過ぎると良い作品はできなくて、つい には自殺に追い込まれるという話はよく聞く。ノーベル賞をもらっ た作家でさえそうだった。  独創的なことは出来なくても老人に出来ることは何か。それが私 の課題だ。 せめて出来ることは、昔のこと(農業恐慌や戦争など)を先輩に 聞き書きしたり、自分の経験を書き残すことであろう。  もう一つは、若い人と交流し、学び、良いこと、優れた行動は褒 めてあげたい。  百歳の近藤康男先生が視聴覚の障害がありながら、また思考力も 衰えたりしながら、しかし、「現代の問題に取り組んで奮闘してい る後輩」の書いたものを評価したり、感想をのべておられる姿勢を 身近に見て教えられている。  80歳の水上先生のパソコン(電脳)生活もこれを手本として考 えたい。 参考図書:水上勉著『電脳暮し』    四六版278頁 哲学書房刊 1900円+税 http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=99013874 (この本は活字が大きく弱視や老眼者に親切な出版社である) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <ニュース> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ 体験!いのちを育む食農教育  地域と学校を結んだ「総合的な学習の時間」の新設など教育改革 が大きく進もうとしている。  そのなかで、こどもたちが育つ場としての「地域社会」を創造的 で活力に満ちた場にし、次代を担うこどもたちの「生きる力」を育 むことが切実に求められている。  2002年の「総合的な学習の時間」の開始にむけて教育関係者 が地域に眼を向け始めた。  今、地域の自然や農業がもつ豊かさと教育力をフォーラムと現物 展示で提示し、食と農を教材とした総合的な学習の時間の展開をす る催しがある。  開催 7月24日(土)、25日(日)の2日間  会場 岩手県・盛岡市・市民文化ホール(JR盛岡駅のすぐそば)  主催 JAいわてグループ、JA全中、岩手食文化研究会 http://www.ruralnet.or.jp/news/sogoten/1999/index.html http://www.ja-iwate.or.jp/new/agri99/agri.htm 食農教育フォーラム  24日(土)13:30開場、14:00〜17:00 総合展示「体験!いのちを育む食農教育」7月24日〜25日   問い合わせ先・農文協地域センター 電話03-3585-1149       ・JA岩手県中央会  電話019-626-8520(代表) ○ 棚田(たなだ)パノラマ体験展・きみは棚田を見たか! あなたは石川県輪島の千枚田とか、松尾芭蕉が「田毎の月」と讃 えた長野県の姥捨の棚田というのを写真やテレビで見たことがある でしょう。  「耕して天に至る」その風景に日本人は美と郷愁をおぼえる。  各地にある棚田をかつて司馬遼太郎はエジプトのピラミットに匹 敵する日本人の営為だと評価したことがある。  土と水と人間の英知が創り出した文化遺産である。フィリピンで は棚田が世界文化遺産として登録された「ライステラス」がある。 バリ島にも棚田がある。ところが日本では農業近代化の中で大規模 化・機械化ができない「遅れた農業」として耕作放棄がすすんでい る。  しかし、全国では水田面積の2割もあり、最近では棚田は雨水ダ ムとしての役割があることが大地震があった淡路島の水道復旧で証 明された。神戸市は水道の復旧ができないでいたのに、淡路島では 間もなく復旧した。その水源が棚田だったのだ。  そのほかに、棚田は水を浄化する濾過装置として、あるいは豊か な生態系をつくり出していることが、見直されてきた。  全国棚田(千枚田)連絡協議会 http://www.rice.co.jp/tanada/index.html http://member.nifty.ne.jp/konosekkei/tanada/index.htm http://www.crisscross.com/users/aoyama/tanada.html も結成され、その主催で東京・日本橋三越で展示会が開かれること になった。  期間:7月27日(火)〜8月8日(日)  場所:東京都日本橋三越本店7階催し物会場・入場無料 http://www.mitsukoshi.co.jp/shop/shop/tenpo_h.html  関連イベント: 1、棚田学会発会式8月3日 様々な研究分野の研究者があつまり、 研究を深めるため、学会を設立する。参加自由。 2、棚田100選の選定  国土・環境保全、歴史・文化の継承、景観、営農・技術、地域の 積極的な活用 などの視点から選定される。 3、棚田フォトコンテスト(2)「棚田60選」・朝日新聞社本社に て展示(7月27日〜8月8日) 4、ミュージカル田んぼの詩「太陽のつぶつぶ」上演(8月4〜8 日 三越劇場)  たった一粒のもみから2000粒以上の米をつくりだす不思議。  大人とこどもの眼をとおして、たんぼの地から、稲の不思議、自 然の感動を歌い上げるミュージカルを「ふるさときゃらばん」が上 演します。 <棚田パノラマ体験展>  楽習エリア:ジオラマにさわりながら、棚田の水の流れ、米つく り、生態系、文化、歴史などを探検感覚でわくわく学べるコーナー。  体感エリア:出展参加自治体の自慢の棚田写真が大きな装置にな らびます。   農機具も展示し、棚田めぐりをたのしめます。  交流・アクセスコーナー:棚田ツアーや田植え・稲刈りツアー、 オーナー制度など相談もできます。棚田米やもちなど加工品もあり ます。 (問い合わせ:ふるさときゃらばん TEL.042-381-6721) http://www.ecology.or.jp/topics/tp51-9907.html  夏休みの自由研究にぴったりでしょう。親子で立ち寄ってはいか が! 参考図書:『棚田はエライー棚田おもしろ体験ブック』 石井里津子編著 農文協1700円 企画ふるさときゃらばん、監 修新潟県安塚町。 参考リンク:織田寧人(よしひと)さんの「美しき棚田」 http://www.ne.jp/asahi/oda/kaze/atanada.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <農業・図書情報> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ここで考古学と農学の協力関係の雑学をご披露します。    先週、奈良市に出張しました。  実は私は山崎農業研究所で図書出版の担当をしていまして、現在 『耕』に連載している「縄文・弥生の農耕文化」(仮題)をまとめ て単行本にするため国立奈良文化財研究所 http://www.nabunken.go.jp/ ・埋蔵文化財センター長の工楽善通(くらく よしみち)先生 http://www.nabunken.go.jp/Nabunken-Doc/soshiki/Member/kuraku.html に相談に行ったのです。 「人物・工楽善通」 まず、工楽という名字について珍しいと思い ませんか。  わたしも三年前、初対面のとき「失礼ですが」とその由来を聞い て驚きました。  司馬遼太郎の『菜の花の沖』 http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=87-06938 という小説の中に、嘉兵衛の先輩として「工楽松右衛門」という名 前が出ている。その末裔というのです。  松右衛門は船や道具の発明家であり、航海者でした。また港の築 造もたくさんして、その功によって幕府から姓を与えられました。 その意味は、「工夫を楽しげにやる男」と言うことで、「工楽」姓 になったというのです。  そのことが、江戸時代の農学者大蔵永常(おおくら ながつね) の『農具便利論』にも沢山の船の絵入りで紹介されています。  私が制作にかかわった農文協の『日本農書全集第十五巻』に「農 具便利論」が現代語訳つきで編集・発行されていますからぜひ見て 下さい。 「あの工楽松右衛門さんの子孫でしたか」と急に親しくなりました。 三年前には山崎不二夫著『水田ものがたり』の補論をお願いしま した。  それが「水田稲作のはじまりと広がり」でした。  今回の著作も「縄文・弥生の農耕文化」の総論部分を工楽先生に お願いすることになりました。 という訳で、以下の解説は考古学と農学の専門家からの体験的耳 学問です。 1、稲作の起源を訪ねて  日本人にとって、「日本のコメはどこから来たのか、いつごろか ら食べられていたのか」という疑問は多くの人が昔から持っていま した。  そこで今までいくつかの説がありました。 20年くらい前までは「稲の起源は雲南・アッサム地方」という のが定説でした。それがここ数年の間に、中国・長江(揚子江)の 下流・中流・から6000年から10000年まえの遺跡で稲作の 跡が発見されました。  そして現在では稲作の起源は長江の中・下流というのが定説にな って来ました。  わたしも、3年前に中国・杭州市から高速道で2時間、河姆渡 (かもと)遺跡を訪ねたことがあります。中国では有名な稲作起源 の遺跡です。  1973年水利工事をしていて偶然地下4メートルのところに埋 没していた人骨・農耕具・稲籾の炭化した堆積層・生活器具・動物 の骨などが4ヘクタールにわたって発見されたのです。  調べてみると、5000年前、急激な水害か海水の逆流で埋没し たらしく、住居・生活生産用具や原始芸術品など6700点がその まま残っていました。とくに稲籾は現在の新鮮な稲に換算すると1 20トンにもなり、相当広い水田で水稲栽培をしていたことが判り ました。  私はここの博物館で高床式の長屋と羽釜(はがま)を見て、すで に5000年前に近代の日本人と同じ生活をしていた人がいた、い や日本の稲作や米を食べる生活の元祖はここだったのかと思い知ら されました。(耕NO71参照) とくにこれらの中国・長江中・下流の遺跡調査には日本の学術調 査団も共同で当たっています。その中で年代測定や稲の存在・水田 跡・稲の品種の確定には日本の農学者と考古学者が貢献しています。 最近の考古学研究に大きく寄与しているのがDNA分析法とプラ ント・オパールの検出の研究です。 2、DNA分析法とプラント・オパールの検出    河姆渡(かもと)遺跡から出た米粒をDNA分析法で調べたのは 静岡大学の佐藤洋一郎助教授のグループです。 http://www.agr.shizuoka.ac.jp/pub/index-j.html http://www.agr.shizuoka.ac.jp/pub/staff/b/sato.html  DNAとは親の性質を子に伝える化学物質で、その配列はいわば 設計図のような役目をするものです。  その分析によって親を判定することができます。  米にはジャポニカとインディカの2種類がありますが、長江中・ 下流の炭化した籾を調べるとジャポニカであることが判りました。  佐藤助教授によると、最近、日本列島の各地で発見される米粒を しらべると2種類あることが判りました。  一つは「温帯ジャポニカ」といって弥生時代に朝鮮半島を通って 西日本に伝わった水田稲作の米です。  もう一つは水田稲作には無い遺伝子をもつ焼畑の稲「熱帯ジャポ ニカ」です。 これは縄文時代に西日本に伝わり畑作の稲が作られ ていたと考えられています。今後の縄文遺跡から炭化米が出土すれ ば、日本の縄文時代に稲作がおこなわれた証明になるだろう、と語 っています。  詳しいことは山崎農業研究所の「耕 NO 81」に(DNA分析と 稲作起源)が載っています。また後で紹介する参考図書をみてくだ さい。    プラント・オパールというのは、稲の葉にふくまれるごく小さい ガラス質(珪酸体)の成分が土中残っているものです。 プラント・オパール分析というのはこの土中の残った珪酸体のう ち、稲の葉を開閉する起動細胞珪酸体をとりだし、現在のイネ科草 本のそれと比較して古代の 植生を復元する方法です。  この研究は宮崎大学農学部の藤原宏志教授が第1人者です。 http://ashikabi.fec.miyazaki-u.ac.jp/agriplan/fujiwara.html  山崎農業研究所の「耕 NO 69」に(プラント・オパール分析に よる水田遺構の探査)という論文が載っています。また次の紹介す る岩波新書でもよく判ります。 ◎ 参考図書 『水田の考古学』工楽善通著 東京大学出版会 2800円+税 http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=91031617 『稲作の起源を探る』藤原宏志著 岩波新書 640円+税 http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=98017962 『DNAが語る稲作文化』佐藤洋一郎 NHKブックス 900円 http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=96030918 3、人物と書評 『水田ものがたりー縄文時代から現代まで』山崎不二夫著   山崎農業研究所発行 農文協発売 2500円 http://www.ruralnet.or.jp/cgi-bin/isbn.cgi?isbn=ISBN4-540-96031-8 http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=96027613 「人物・山崎不二夫」 著者はすでに故人になっておられるが、学 習院から現役で東大に入学した異色な学者で知られている。東京高 等農林学校教授時代から東京大学農学部で有名なのは「水田の浸透 に関する研究」であった。  農業工学科に農地工学講座を創設され、学内では多くの研究者を そだて、民主化のため尽力された。定年後山崎農業研究所を創設さ れた。  また、定年後農地工学の体系化を行い、名著『農地工学 上下』 (東大出版会)を完成された。英訳され国際的にも評価されている。  この他『ダム公害』(山崎農業研究所) 『水資源を考える』(三共出版) http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=81-10116 『明日の利根川』(農文協) http://www.ruralnet.or.jp/cgi-bin/isbn.cgi?isbn=ISBN4-540-85055-5 を刊行された。  さらに表題にあげた『水田ものがたり』は1974年に創設され た「山崎農業研究所」の「耕」に連載されていたものを教え子たち 山崎農業研究所の会員が編集して完成した。  内容は縄文・弥生時代からの水田の開発・改良の歴史の流れをや さしく述べ、近世・近代・現代の水田までおよび、一般の人にひろ く理解を求めている。 補論の1、「水田稲作のはじまりと広がり」     (工楽善通・国立奈良文化財研究所埋蔵文化財センター長)      稲作伝来の四つのルートと日本稲作の北進・      施設・農具の新知見がのべられている。 補論の2、「水田と環境」(田淵俊雄・元東京大学教授) 現代の水田と水をめぐる問題を追究した。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <夏の健康食> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎7月のしゅんの野菜 キュウリ、ナス、シシトウ、トウモロコシ、エダマメ、根ショウガ、 葉ショウガ、レタス、オクラ、トウガン、シソ、トマト、カボチャ、 ピーマン、サヤインゲン、 (4)夏ばてにピーマンとセロリーのチリメンジャコ煮 効用: いよいよ梅雨明けですね。とくに梅雨明けの時期は急に暑 くなります。 夏バテしないように、ピーマンやセロリーを食べま しょう。  ピーマンはビタミンAになるカロチンやビタミンCを沢山ふくん でいます。  セロリーは薬用として香りが神経を静めるはたらきがあります。 センイはカリ ウムが整腸作用をしてお通じがよくなります。 材料: ピーマン、セロリー、チリメンジャコ、サラダ油、酢、     しょう油 作り方: ピーマン、セロリー、チリメンジャコはさっと熱を通し ておく。  鍋に油を熱してピーマンとセロリーを炒め、しょう油とだし汁で あじをつけ。汁気がなくなるころチリメンジャコをいれる。 ○チリメンジャコはカルシウムやミネラルが豊富だからいつも備え ておくと良い。 ---- 予 告 ----------------------------------------------- 第5号は7月29日「父母と協同で自分史を書きましょう」 第6号は8月5日「定年帰農・百姓入門・就農ガイド資料集」 を取り上げる予定です。 ------------------------------------------------------------ ●協力をいただいているサイト紹介コーナー 「農文協ルーラルネット」 http://www.ruralnet.or.jp/ 「太陽コンサルタンツ」 http://www.taiyo-c.co.jp 「劇団文化座」 http://nazuna.com/bunkaza/ ここまで読んでいただきありがとうございました。 『電子耕』は、2つのルートで配送しております。   『まぐまぐ(ID=14872)』(http://www.mag2.com/)   『Macky !』(http://macky.nifty.ne.jp/) *********************************************************** 週刊「74歳が送る農業文化マガジン『電子耕』」第4号 --農業・健康・食・図書情報--  バックナンバー・購読申し込み解除案内 http://nazuna.com/tom/denshico.html 1999.7.22(木)発行      東京・ひばりケ丘  原田 勉 mailto:tom@nazuna.com *************************************発行部数735+32部******